父の難問 [家族]
僕が子供の頃。
夜寝るときに、ふと布団の中で「死んだらどんな感じがするのかなぁ」と考えた。
それほどの語彙がないからだが、「感じ」っていうのは「意識がどうなっちゃうか」って意味。
だんだん怖くなってきて、隣に寝ていた父を起こして
「死んだらどんな感じがするの?」
と聞いてみた。すると、父は
「さぁ、死んだことないから判らんなぁ」
僕は、この返答にかなり戸惑った。
今思えば、かなりいい加減なこともあったが、父は色々物知りで大概のことには答えてくれていたので、「判らない」という返事が来たことが意外だったのだ。
ますます、死ぬのが怖くなって、その後に父だったか祖父だったかに死ぬのが怖い話をした。
その時の答えは「大人になったら死ぬのはだんだん怖く無くなってくるよ」ということだった。
父の隣で寝ていたので、就学前かせいぜい小学校の低学年の頃の出来事で、以来、いつかは死ぬのが怖くなくなるのかなぁ、と思っていた。相変わらず死ぬのは怖いが、毎日の生活が忙しくて、日頃そんなことを考える暇がない不惑の今日この頃。
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